阿字観とは、真言密教の瞑想法の一つです。
阿字観の成立は密教の主要教典である『大日経(だいにちきょう)』『金剛頂経(こんごうちょうぎょう)』や、真言密教の祖師である龍猛菩薩(りゅうもうぼさつ)の菩提心論(ぼだいしんろん)にその典拠があるものの、正式に阿字観について述べられているのは、弘法大師、空海が口述したものを、その弟子である実慧(じちえ)が記録したとされる「阿字観用心口決(あじかんようじんくけつ)」が始めの事です。即ち、現代に伝わる阿字観という瞑想法は、弘法大師を始めとして千二百年の時を越え、今皆様に伝えられる日本で生まれた瞑想法ということになります。
阿字観瞑想の実践は、本尊である大日如来の象徴である阿字観掛け軸の前に座禅し、本尊のお心を自分自身が受け入れさせて頂くことを心で観じ、曼荼羅世界に入っていくという密教独特の瞑想方法です。
阿字観は簡略的な瞑想法でありながらも、大日如来のお心をいただく奥深い瞑想法と言うことができます